Vol.502「監督」

約1か月半に渡ったラグビーワールドカップも本日の決勝を残すのみ。
肉体と肉体がぶつかり合う真剣勝負の面白さやトライを取った時の爆発的な歓喜もさることながら、戦略や役割分担、方針の徹底、連帯感、個々人の個性、局面での判断、そこに至る訓練の積み重ねなど、事業運営に置き換えられる部分も多く、またそれが試合を通じてわかりやすく伝わってくることも、これだけ多くの人々から人気を得た理由ではないだろうか。

日本代表の「ONE TEAM」という言葉、初めてみたときには正直、当たり前じゃないかと思ってしまった。しかし、試合を見て、少しながら日本代表のことを知るにしたがって、この言葉がやはりチームに大きな意味をもたらしているのだと思えるようになった。育った文化が違う(しかも個性が強いと思われる)代表クラスの人材をまとめ上げ、勝利のために一つの方向に進んでいく分かりやすコンセプト。たぶんその象徴が日本のスクラムにあった。

平均体重で劣る多国籍なスクラムながら、対戦したどの相手からも押されることはほぼなかった。強く結束し、それぞれの持ち場で最大限の力を発揮したのはもちろん、スクラムを組んでいた最中でもコミュニケーションをとっていたと聞いた。ONE TEAM、その実現には明確な方向性、一人一人の鍛錬と強い意識、そして現場での密なコミュニケーションが必要なのだと思った。

それと監督。実際にどの方向にチームを進めるかは監督にかかっている。これまで手に届いたことがないベスト8が自国開催で必達目標となった状況下では相当な覚悟が必要だっただろう。強い信念とぶれない方針、明確な方法論、そして選手からの信頼。圧倒的な実績があったとまでは言えないジェイミー・ジョセフ監督が、どのようなプロセスで選手からの信頼を得て、各選手が「犠牲」とまで言わしめた状況をどう作り上げたのか、是非知りたいと思う。

てなことを書きながら、やっぱり自分に、事業に投影しながら考えている。
本日のイングランドVS南アフリカ、試合内容もさることながら、今回の大会ですっかり名監督となったイングランドのエディー・ジョーンズ監督にも注目してみたい。

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