Vol.475「原風景」
2019年4月27日
集荷途中の吉舎町戸張川沿い某所、青い閃光が横切った。その先を追うと川に張り出した枝にカワセミが止まっている。金属のような光沢の青い羽と立派なくちばしをまとったフォルムが美しい。生で見たのは何年ぶりだろうか。しばらく車を止めて記憶を辿った。
僕のカワセミの記憶は家近くの戸島川と結びついている。小学生の夏休み、泳ぐのはいつも戸島川だった。泳ぐというよりは生き物探しが主。川底に張り付いているゴッパ(カジカ)を追ったり、石の間に手を突っ込んでハヤをつかみ取りしたり。体が冷えたら堰に寝そべって地温で体を温め、上流の木陰に目をやると時たまカワセミがいた。当時から結構珍しく、じっと川面を見ている姿にこちらも息をひそめた。蝉の声、川渡る風の匂い、流れ下る水音、懐かしく美しい思い出だ。
そんな原風景が僕の人生にどれだけの影響を与えているのか、どんな意味があるのかはよく分からないけど、子ども達が小学生の時に東京から実家に帰し、現在は僕自身もこの地でこの里に関わる仕事をしていることを考えると、案外大きいのかもしれない。僕の孫の世代にもこの風景があって欲しいと思う。
その戸島川から我田に水が引入れられ、いよいよ今年も田植えが始まる。水が入ると里の匂いが変わり、そして一斉にカエルが鳴きはじめる。毎年繰り返される同じ光景、スタートはこれも恒例の某取引先従業員及び家族約50名による田植えから。一列に並んだ光景はなかなか壮観で、子どもたちの元気な声が里に響く。もう10年続けており、そろそろこの地の風物詩といってもよいかな?
って、そんな感傷に浸ってる場合でもなく現在田植えの準備でバタバタ。今回は久しぶりに佳穂と千紘も手伝ってくれるようで、行事運営に関わりたいと申し出た子どもも4名ほどいて、その他諸々合わせスタッフだけで総勢15名、うち前泊者7名。食事準備だけでも結構大変だったりする。その主体を担う妻は慌ただしく動き回りながらも何だか楽しそうだ。
後は快晴を祈るだけ。
一応、助成金の会計検査も、某大手企業の視察(3名の予定が結局7名来られた)も、TVの収録も何とか阻喪なく終えることができた。昨日は農吉で過去最高の出荷があり終わった時間も過去最長。これで明日無事に田植えを終えることができれば今週完結。この感じ、嫌いじゃない。