47「南瓜」

あれよあれよという間に12月も終盤突入。クリスマスイブまでの3連休、街の賑わいのニュースを横目に今日も元気に残務処理。子ども達が家にいた頃もクリスマスには熱心ではなかったが、居なくなってからは一切気にしなくなってしまった。

ただし、野菜販売は別の話し。寒くなるとサラダ食材の動きが悪くなるのだけど、クリスマス前は一気に動き始め、特にクレソンと赤系の生食用野菜はよく売れる。出荷農家さんも心得たもので、昨日のまごやさいはカラフルな野菜で溢れた。

と、その前に日本の伝統イベントは冬至。こちらもいまだ健在で1週間ぐらい前からカボチャが大量に売れる。カボチャ自体は夏野菜で早いものは7月から収穫でき始める。それを追熟保存させて甘みが乗ったこの時期に食べるのが習わしですとニュースなどでさも当たり前のように仰っているが、ちょっと待ったと敢えて申し上げたい。実はそんなに簡単じゃない。

問題は保存。基本はある程度風通しの良い直射日光の当たらない場所で、農家であれば軒下や納屋に置いておく場合が多い。まずは傷みやすい実と弦がつながっていた部分(収穫の際にここを切り落とす)を乾かす。天気が悪い時期に収穫した場合は大型扇風機で乾かしたりもする。ずっと同じ状態で保存すると一点に重みがかかってそこから痛み始めるので、時々向きを変えたり、ひっくり返す。数が多いと結構な手間となる。
次にネズミの襲撃。まずはポツリ、ポツリと果皮を齧られたカボチャが現れ始める。一つに集中してくれればまだよいが、そんな人間事情をネズミは知る由もなくあちこち齧る。そのうちエサ場と認識してその数はどんどん増す。この対策がとても難しい。
そして寒さ。10度以下になると痛みが出てくるものが多くなる。氷点下になるとさらに厳しい。往々にして親指ぐらいのピンポイントで柔らかくなり、それが果肉に達すると中で傷みが広がる。こうなると売り物にならない。なので寒くなりそうだと家の中に入れたり、米の保冷庫(だいたい15度ぐらいに設定していることが多い)に入れる。
そんなこんなを繰り返して結局販売できたのは収穫したものの半分以下ということもあった。

とまあ、農家の苦労話をしたところで仕方ないのだけど、知っておいたらちょっと味が変わるかも。甘みのしっかり乗ったこの時期のカボチャはいろんな意味で美味しい。

更に蛇足。最近は白皮系のカボチャを作る人が多くなった。真っ白な果皮が美しい「伯爵カボチャ」や薄緑の「雪化粧」など。このカボチャたち何といってもその特徴は皮が固いこと。少々の寒さではびくともせず傷みにくい。しかもホクホクして甘みがありとても食味が良い。切る時さえ気を付ければとてもお勧めのカボチャ!1月以降はこのカボチャを販売予定。

ちなみに、生食できるカボチャもまごやさいで人気がある。その名は「コリンキー」。こちらは夏場に収穫できるレモン色の果皮のカボチャで、皮がとても薄くて柔らかく鮮度の良いものは皮付きで生食OK!6年前ぐらいから作る人が出てきて初めは全く売れなかったが、今では主力野菜となった。

とまあ、冬至にちなんだカボチャの話など。食卓の会話のネタにでもなれば嬉しいです。

  • Facebookでシェア
  • ツイッターでシェア
  • LINEで送る